毛布をかけ直す丸まった背中を、瑞麗は痛ましく見つめる。
「どうして私に言ってくれなかったんだ。力になれたはずだ」
攻める口調で言い放つ。苛立たしげに組んでいた腕を解き、前髪を掻き揚げた。
瑞麗は朝早く弥幸からの連絡を受けて、彼の家までやってきた。走り、息を軽く上げて駆け込んだ部屋の中には、泣き疲れて眠る暁斗がいた。目元が赤く腫れていて、明るく太陽のような彼には痛ましく見える。
生徒を、心や身体の怪我から護る瑞麗にしてみれば、力を貸せないことは悲しい。そして知っていたくせに連絡もよこさない弥幸が腹立たしくもあった。
弥幸が、静かに瑞麗と向き直る。
「今回は、本当に言う暇がなかったんだ。保護した後も眼を離した隙に家を抜け出してしまってね。追い掛けていたから」
「だが!」
「ありがとう瑞麗」
柔和に弥幸は笑った。
「お前には、小さい頃から心配かけてばかりだな」
「そんなことは……どうでもいい」
瑞麗は苦し気に弥幸から眼を反らした。悔しくて唇を軽く噛み締める。
「……貴方が……、暁斗に負い目を感じていることは知っている。だが、このままでは弥幸殿もただでは済まなくなるんだぞ」
「俺は、引き下がるつもりはない」
「しかし」
「もう戻れ」
反論する口よりも早く、弥幸が言う。
「ぼちぼち俺も疑われておかしくない頃だ。不必要に共にいるのは、都合が悪い」
「------あなたは」
瑞麗は言いたいことの半分も言えず、もどかしさを感じた。
「いつまで経っても変わらない。六年前も、二十四年前も。少しでも内に入り込こみかけば、すぐに躱してしまう」
「……褒め言葉として受け取っておくよ」
弥幸は静かに眼を閉じる。
「まだ来てないのか?」
朝礼が終わって、ようやく登校してきた皆守は、教室に入るなり授業の準備をしていた八千穂に聞いた。自らの鞄を机に置く暇もなくやってきた皆守に、八千穂は驚きつつ頷く。
「そうだけど……。後ね、月魅も来ていないんだって」
回りを窺い声を潜める八千穂に、皆守はうんざりした。
葉佩暁斗と七瀬月魅が、付き合っていると言う噂が突如広まったせいだ。
昨日、必死な形相で暁斗が七瀬を探していたから始まり、七瀬も暁斗を同じように探していたとか、二人揃って歩いていたとか。話を集めればきりがない。
加えて暁斗も七瀬も告白されたことはないが、実はそれぞれ密かに人気が高い。周りからは嘆きの溜め息の数も多い。
皆守は教室に着くまで、暁斗の友人と言うことで何人もすれ違う人に真相を聞かれた。寝耳に水で知る由もなかった皆守は、何度も躱していくうちに機嫌が悪くなってしまう。
「ね、本当に付き合っているのかな?」
皆守の溜め息を余所に、八千穂は噂に興味津々だ。
「結構お似合いだとは思うんだけど……。皆守クンはどう思う?」
「付き合っている訳ないだろう」
皆守はきっぱり否定する。
「第一馬鹿正直を地で行っている暁斗が、こそこそ隠れて付き合う筈ない」
本人が聞いていたら怒るだろう台詞を吐く。
「うーん……。確かに暁斗クン、隠し事なんて出来なさそうだからなあ」
八千穂もすんなり納得してしまった。もし渦中の人物がいたら、きっと落ち込み肩を落としていただろう。
「ったく暁斗は何処に行きやがったんだ。こういうのは本人の口からきっぱり言ってやった方が一番信憑性があるんだ。このままじゃさらに面倒なことになるぞ」
「………」
じっと見つめる八千穂に、皆守は居心地悪い。
「何だよ」
八千穂が、にっこり笑った。
「……よっぽど心配なんだね。暁斗クンのこと」
「なっ」
「へへっ。今まで一人でいることが多かった皆守クンが、友達を心配するなんて。仲良しになれたんだね」
「誰がっ」
言い返しても、八千穂は気味悪い笑みを返すばかりだ。こっちの話など聞きやしない。姑くは我慢していたが、耐えきれなくなって自分の部屋へ戻る。
全く少しは人の話を聞いてほしいもんだ。溜め息をつき、ふと携帯を見てみるとウィンドウがメールの受信を知らせてくる。
見知らぬメールアドレス。無意味に人を誘い込むダイレクトメールかと、中身を見ず消しかけ、寸での所で思いとどまる。
メールの件名には、こう書かれていた。
『暁斗は俺の家にいる』
皆守の目が、冷たい氷のような鋭い光を宿す。無言でボタンを押し、メールを読み進め------荒く携帯電話を閉じ、立ち上がる。
「ちょっと、皆守クン! もうすぐ授業始まるよ!」
目ざとく教室を出ていきかけた皆守を、八千穂が注意する。
皆守は、立ち止まらない。
「これから迎えに行くんだよ」
「心底行きたくない場所だけどな」小さく付け加え、皆守は教室を出ていった。
元は阿門邸の近くにあった教員住宅街は、建物の老朽化で生徒寮の向いにあたる区画に作られていた。校舎から中庭、体育館が挟まれているせいで、前よりも道のりは長かった。そのまま寮でサボる分には手間が省けたと言えるが。
今の皆守には、授業を受ける気にも教室に戻る気もない。これから盛大に神経をすり減らすイベントが待っている。
ポケットからアロマプロップを取り出す。口に銜えて火をつけた。
「よう」
呼び出された家の門前に、弥幸が一人立っていた。いつものつなぎではなく、鈍色の着流し姿だ。初っ端から睨み付ける皆守に嫌味な程整った笑みを返す。
「早かったな。メールを送って五分。ダルダルなお前のことだから、もっと遅いかと思ってたよ。早く行動することも出来るじゃないか」
「……ご託はいい。とっとと暁斗を出せ。メールを送ったからには、そうするつもりで来たんだろうが」
皆守に送られてきたのは、弥幸のメール。暁斗が自分の家にいる旨を伝え、酷く疲れているから迎えに来いと言う一方的なものだった。
「それとも、また何か言いたいのかよ」
「………」
弥幸が鼻先で笑う。皆守にはそれが苛立たしい。
「何がおかしいんだよ」
「おかしいだろう? つい一ヶ月前までは、あんなに俺に話し掛けもしない。近づきもしない。だが、今はこうして向かい合って話している。どうして笑わずにいられようか。これも暁斗に心を許してきた証拠か」
くっくっと笑っていた笑みが引き、弥幸は蔑むように皆守に指を突き付ける。
「だが、今のお前には暁斗を渡すなんて出来ないな。お前はあの子を『殺す』存在だから」
「----------何が、言いたい」
ゆらりと皆守の身体から、常人には考えられない強さの氣が溢れる。怒りの感情を迸らせ、皆守自身を覆った。
「怖い怖い」と弥幸は大して恐がりもせず、肩を竦める。
「じゃあ、何だったらここで洗いざらい吐いてやろうか。いつ暁斗が来るか分からないこの状況でもいいならな」
「……っ」
敵意が入り交じった皆守の氣が、暁斗の名を出した途端急激に薄まっていく。口を固く閉じ、固く拳を握る。
「は、今度はだんまりかよ。……まあいい」
肩ごしに、弥幸は玄関を指差す。
「お待ちかねのご登場だ」
「---------弥幸さん」
玄関がゆっくり開き、隙間からおずおずと怯えた小動物の仕草で暁斗が顔を出す。メールに書かれていた通り、疲れ憔悴しきっている顔をしていた。泣き腫らしたのか、目元は赤く腫れていた。
「大丈夫ですか?」
さっきまでの尊大な態度を豹変させ、弥幸は優しく暁斗に接する。皆守は内心舌を巻いた。大した演じわけの上手さだ。
暁斗は皆守をちらちら横目で見ながら、御幸に向かって頼り無く頷く。
「……まだ少しだけ、辛いですけど。これ以上お世話になる訳にはいきませんから」
「そうですか……。でも今日はゆっくり休んでくださいね。雛川先生には僕から伝えておきましょう」
「ありがとうございます。オレ、鞄取ってきます」
暁斗は皆守を見て悲しそうに目を細め、家へ戻っていく。再び二人きりになって、和らぎかけた空気が、再び凝り固まる重りを生み出す。
「……暁斗はお前を信じている。だから今、引き剥がしはしない。だが、これからこれ以上あの子を危険に晒してみろ。ただじゃおかないからな」
皆守の胸に鋭く残る一撃を与え、弥幸も着流しの裾を翻し家へと戻る。
皆守は銜えていたアロマプロップの先端で立ち上るラベンダーの香りを強く吸った。
強く。
強く。
『《転校生》に関わると言うことは、いつかそれを消すと言うことだ』
何時か誰かが言っていた言葉が蘇る。
皆守は溜まらなく切なくなった。空を仰ぎ、捕われたままの自分を嘲る。
「分かってるさ。そんなこと」
苦し気に呟き、皆守は早くこの場に暁斗が来ることだけを、願った。
弥幸の家から、皆守も暁斗も沈黙を護ったまま並んで歩く。いつもなら落ち着くはずのそれが、今は嫌でしょうがない。ちらちらと向けられる暁斗の視線も、小さな痛みになる。
本当は、皆守には暁斗に聞きたいことがたくさんあった。だが沈黙が言葉を拒んでしまう。
「……甲」
暁斗が躊躇いがちに口を開いた。
「どうして、来てくれたんだ? オレがあそこにいるの、誰も知らないのに」
「緋勇が教えてくれたんだよ。勝手にメールを送りつけやがってな」
「そっか、わざわざありがとう」
ぎこちない笑顔に、皆守は口を開きかけるが結局何も言えない。前を向き直し、黙り込んで歩く。
その後、暁斗の部屋に彼を送り届けるまで、皆守はずっと苛々していた。
弥幸の言う通り一日ゆっくり休むらしい暁斗は、「今日遺跡行かないから」とだけ言うと、皆守の返事も聞かずに部屋に閉じ篭ってしまう。
閉じられた扉を前に、皆守はいよいよ不安になってきた。いつもの暁斗らしくない。昨日の朝までは、変わりなかったのに。
あれから何かあったのか?
『違う。オレ七瀬じゃない。----暁斗だよ。葉佩暁斗!』
少女の声で、違う名を呼んだ時の言葉を思い出す。あの時は、余りにも突拍子で唐突な七瀬の奇行に驚き、からかわれたかと拒絶を全面に押し出して彼女を置いていってしまったが。
背中に寒気が走る。
もし、あの時。『彼女』の言っていることが本当だったとしたら------。
ここはあり得ないものが眠る地だ。それこそ、ありえないことがありえることだって、ある。
皆守は、背を向けたばかりのドアに向き直り、ノックする。
「暁斗」
返事は返らない。もう寝てしまったのか、もしくは自分に会いたくないのか。後者は余り考えたくない。
切羽詰まり携帯電話を取り出す。操作してメール画面を開き、一番上に表示されたメールへの返信ボタンを押し掛け----止めた。誰があんな奴に助けを請うてやるものか。
だったら。
画面を下にスクロールし、八千穂のものを探し当てる。彼女に簡潔なメールを出す。
七瀬のメールアドレスを教えろ、と。
理由を聞きたいだろう八千穂からの着信を、留守電に切り替えることでかわし、目的のものを手に入れた皆守はさっそくそれを使い、七瀬を呼び出す。冷たくあしらった昨日の今日で、来ないかも知れない不安がよぎったが、彼女はそれを払拭するように、すぐ来てくれた。
「お待たせしました」
謝りつつも、七瀬の歩みは遅かった。一歩進んでは立ち止まる。それをゆっくり繰り返し亀のごとき遅さで時間をかける。そして、どんなに動き辛くても、彼女は本を離さなかった。
「それで、一体私に何の用ですか?」
「…………昨日、昼休みから五時間目の辺り、お前は何処にいた?」
「………」
七瀬が僅かに動揺を見せる。眼が泳ぎ、後ろ暗く視線を皆守から反らす。
「その時は、図書館で本の整理を。近ごろは無断で書庫室に入り勝手に本を見る人も多いですから」
「嘘だな。俺が言った時間、俺とお前は同じ場所にいた」
「っ」
息を飲み、七瀬が口を覆い隠す。問うような瞳を皆守に向けた。
「そんな怯えた顔をするなよ。俺は別にお前を責めるつもりなど毛頭ない」
ただ、暁斗の間に何があったのか。純粋に知りたいだけ。
「昨日、お前と暁斗、何をやらかしたんだ?」
「やらかした、だなんてとんでもないです!」
心外だと言わんばかりに声を張り上げる七瀬。
「私も、暁斗さんも巻き込まれただけなんです」
「巻き込まれた?」
「そうと言っても、何に----と聞かれたら答えようがありませんが……。でも確かなんです」
「……で、それは何だ?」
「身体が、入れ代わったんです。私と、暁斗さんの」
自分自身で事実を噛み締めるように七瀬は呟き、持っていた本を胸に抱き締める。
「皆守さんが私と一緒にいたと言う時間、私は図書室に隠れていました。もう暁斗さんの身体になっていて、訳も分からないまま、隠れていたんです。恐らく貴方が会っていた『私』は暁斗さんだったと……」
「……証拠は?」
「ありません」
皆守の眼が七瀬を諌めるように細まる。
「ですが、私はちゃんと起こったことなのだと、言うしかありませ。私にとってはそれが真実なのですから」
毅然と強い眼差し。そう言えば、七瀬も----暁斗も、人をからかう名目で嘘をつける人種ではない。人を騙すことに、酷く不器用だ。
あの時信じてられたらな。
「----分かった。信じよう」
とにかく、真実は皆守が考えている通りだった。それを確かめる為に七瀬に会った。揺らいでいた足元を確固たるものにする後押し。それが欲しかった。
「だから、教えてくれ。お前らが異変に会っている間、暁斗に何があったんだ?」
「……すいません。それは私にも分からないんです」
言葉を濁らせ、七瀬の表情は萎む。
「緋勇さんの家で、元に戻る為の方法を探している間に何かあったのでしょう。不意に意識が途切れた後、私は雛川先生の家で眠っていました。もしかしたら、その瞬間に暁斗さんの方で異変があったのでしょう。どちらにしろ、全てを知っているのは彼です」
「……そうか」
結局、得るものはなく、振り出しに戻ってしまった。どう言えばいいか、それを考える為に七瀬を呼び出したのに。素直に暁斗に会う選択肢しか残らない。
だが、落ち込んでいる暁斗に、もしかしたらそうさせているかもしれない皆守がどう言うべきか。
悪循環が加わった堂々巡りに、頭を押さえ込みたくなる。
「……悪かったな。身体の調子が悪いのに、呼び出したりして」
「いいえ。私も気になっていましたから」
「気になる?」
「はい」と七瀬は頷いた。
「元通りになった後、暁斗さんに会ったら、すごく落ち込んでいましたから。皆守さんはそれが気になっていたんでしょう?」
「……私、暁斗さんと皆守さんとは、仲良くあってほしいですから」
穏やかに笑い七瀬は「それじゃあ」と女子寮へ帰っていく。
誰も彼も、暁斗と一括りにしてみていることに気付き、皆守は閉口する。図らずも、自分も同じことを思ってしまったから。
アロマプロップを噛み締める。
何を思っているんだ。
共にあることが、心地よいとさえ。
『逃げんなよ。----------憶病者が』
『あの日』にかけられた言葉を思い出す。
誰が逃げているか。否定しかけ、緩く自嘲ぎみに首を振る。あいつの言う通り、逃げっぱなしだ。色々なものや、これからの出来事に眼を反らし続けている。
そんなことをしても、行き着く先は同じだ。
血と闇と、死が蔓延している。
「変化なんて望んでどうするんだ」
停滞すればいい。時間も人もそのままであれば、ずっと暁斗といられるのに。
「………だから、何を考えているんだ俺は」
今は暁斗の間がぎくしゃくしている。それを何とかしないといけないのに。
眼を伏せ、男子寮へ重い足取りで歩いた。
七瀬との会話も実りなく、直接暁斗に聞くしか(弥幸には死んだって聞きたくない)方法がなくなった皆守は、頭の中で言葉を絞り出しながら考える。暁斗は落ち込むと、極端に口数が減る。分かりやすいが、話し掛けるだけでも骨が折れてしまう。
カレーパンを餌にしてみるか。考え倦ねると、声がした。
「……甲」
まだ頼り無いけど、さっきよりずっといい。
皆守の部屋の前に、暁斗が扉に凭れて腰を下ろしていた。廊下から出てきた皆守を見つけ、すっくと立つと駆け寄ってくる。そして、小さく頭を下げた。
皆守は訳も分からず、暁斗の旋毛を凝視する。
「ごめん。オレ、ちょっと気が立ってて。皆守せっかく迎えに来てくれたのに。素っ気無い態度とったりして、ごめん」
どうして、謝るんだろう。皆守は暁斗の謝罪をにわかに疑ってしまう。頭を下げるべきなのは、理屈から言えば、暁斗ではなく自分だ。知らなかったとは言え、すがりつく手を無下に振り払った。
沈黙を怒りと取り、暁斗は顔色を無くす。
「……まだ、怒ってるのか……?」
「違う。怒ってない」
皆守は首を横に振る。
「……どうして、俺にそんな優しくするんだ。お前は……」
「………え?」
「………いや、何でもない。……お前が七瀬と入れ代わった事は、正真正銘七瀬本人から聞いた。------悪かったな、あの時」
「い、いいよ。そんなのっ」
暁斗は、とても嬉しそうに顔を綻ばせた。さっきまでの暗さが、嘘のように晴れ渡り太陽みたいな明るさを取り戻している。皆守は、暁斗がこの言葉が欲しかったのかと思う。
「ちゃんと今分かってくれたから、だからもういいよ。ありがとう、甲」
衒いもなく感謝を述べる暁斗。皆守はそれを眩しいと思った。そこまで自分の感情を面に出せる彼が、羨ましかった。
本当に、どうして俺に優しくするんだ。そう考えると、眼の後ろが、熱くて、痛くて、しょうがなくなる。鼻の奥がつんとした。
「じゃあ、お前が七瀬になっている間、何があったか教えてもらおうか。昨日部屋にも帰ってこずに、な」
自分を誤魔化しながら、皆守は暁斗に言った。暁斗は言葉に詰まり「言わなきゃ駄目か?」と気が進まない。
「やましくなければ言えるはずだ。お前の部屋に行くぞ」
「ああああああ……」
「……カレー、作ってやるから」
カレーの一言に、暁斗が止まる。「本当か?」嬉しそうに飛び跳ねた。態度が打って変わって、急かすように皆守の手を引く。
繋がる温かさに、皆守は苦しく、----悲しかった。
このまま、時が止まってしまえばいいのに。
決して叶わない事を願った。
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