発売前にやってしまえ妄想小話
リオンの前にカイルが王子専属の護衛だったらいいなーな話です。
王子はまだ子供でよろしくお願いします!
毛布の中でむずがる小さな手に、傍らのカイルは閉じていた瞼を開けた。
寝台で横たわっていたティーが、身体を丸めかたかたと震えている。カイルは何時不審者が侵入してきても対処出来るよう握りしめていた剣を壁に立て掛け、そっとティーに呼び掛けた。
「どうかされましたか。ティー様」
「こわい、夢、-----見た」
まだ幼さの残る舌足らずな声は、夢の残滓を引きずって怯えている。余程こわい夢だったのだろう。シーツを握りしめる手があまりの力に白くなる。
「そうですか。でももう大丈夫ですよ。ここには俺がいますから」
「ちゃんといてくれる?」
「ええ。ほら、こうすればちゃんと俺がいるって分かるでしょ?」
ティーの手を、カイルの手が包む。壊れないようにこわごわと力を込めると、ティーは安心して表情を崩した。
「うん、本当だ。カイルがいるね」
「ティー様が眠るまでこうしています。ほら、瞼を閉じて」
空いた手でそっとティーの目を覆い、ゆっくり離す。幼子の瞳は閉じられ、静かな寝息が聞こえた。
目の匙を濡らす涙をそっと指先で拭う。銀の髪を撫で、あやすように優しくぽんぽんと肩を叩いた。
こんな時、この子が愛しくなる。
余りにも自分の立場を理解しているが故に、辛い事も心のうちに押し込めて、何も、誰にも(それこそ、家族にも)言おうとしない。
愛しい子。
いつか、彼が大きくなった時、自分はそれを守る為に隣に立てるだろうか?
「----立ってみせるさ」
小さく決意を口に出す。強く手を握る。
これから彼が進む道は、決して平坦なものではないだろう。険しく辛く、時には傷付く事だってあるかもしれない。
そんな時、すぐにティーを守れるよう。俺は強くなろう。
「だからティー様は前を見続けていてくださいね。俺は貴方の後ろに立ち、貴方の背を守り続けますから」
カイルは薄く笑うと、ティーの濡れた目の匙にそっと口付けた。
色々幼い王子の面倒をカイルが見ていたとか考えると、萌えるんですが。 |